発祥:ペルー
拍子:2拍子
楽器:特殊楽器なし
歌 :あり
特徴:リズムのなまり、多様性
フォルクローレを語る上で絶対に欠かせないリズムがワイニョです。
ワイニョはスペイン侵略前からある音楽で、現在でもその特徴を色濃く残しています。
発祥はペルーで五音音階、甲高いケチュア語の歌、踊り、そして地方色が強い事が特徴です。この原始的なワイニョは後述するボリビアのワイニョと区別してワイノと呼ばることがあります。
現在演奏されているワイニョのほとんどはボリビアを起源としたものです。前述のワイノにヨーロッパ系の作曲家が手を加え、誕生しました。ボリビアではこの新しいワイニョと別のリズムであるクエッカがセットで踊られます。
どちらも少しなまった2拍子が特徴で再現は非常に困難です。
ワイニョ動画
発祥:ボリビアのポトシ北部
拍子:4拍子
楽器:サンポーニャ中心的、特殊楽器なし
歌 :あり
特徴:コンテスタード、叫び
ティンクはもっとも単純で、メジャーなリズムの一つです。
一拍目を強調した4ビートのリズムはわかりやすく、ノリやすいので大人数で盛り上がるときによく用いられます。
また、力強い歌、叫び、サンポーニャのコンテスタードもティンクの特徴です。
ティンクの踊りでは男性はケチュア族やアイマラ族の戦闘服、女性はきれいで華やかなスカートを履き、2グループに分かれます。
そのグループ対抗で男性は地面を踏み鳴らし、腕を振りあげ、喧嘩をするふりをします。
この踊りはボリビア、ノルテ・ポトシ地方の喧嘩祭りに由来します。
この祭りは村対抗で男たちが女性の前で強さを見せて求婚するもので、中には女性を他の村から分捕ったり、本当に殴りあったりするものもあるそうです。
ティンク動画(Esperanza)
発祥:ボリビアのサンタクルス地方
拍子:6拍子
楽器:ケーナ中心的、特殊楽器なし
歌 :なし
特徴:6/8拍子と3/4拍子が混ざっている
6/8拍子系の代表的なリズムであるカルナバルですが、その曲調は様々です。
もとはボリビア東部のサンタクルス地方を起源とした踊りの伴奏用の音楽ですが、近年ではテンポが速く、演奏技術を重視した曲が増えています。
下の動画はテンポの速いものになります。
カルナバルの最大の特徴ですが、6/8拍子(2拍子)と3/4拍子が混ざっていることです。
聞く人によってとらえ方が異なったり、同じ曲の中でも2拍子よりのところと3拍子よりのところがあったりします。
カルナバル動画
発祥:ボリビア南東部、アルゼンチン北部、パラグアイ
拍子:2拍子
楽器:現代楽器あり
歌 :あり
特徴:掛け声、跳ね
はじめはマイナーなリズムだったのですが、カラマルカというグループがヒット曲を連発したために一気に有名になりました。
トバ族という低地に住む民族発祥のリズムで、戦いや狩猟、生贄の儀式などの踊りです。
槍を持って飛び跳ねる踊りを反映した跳ねるような曲調が特徴です。
激しくも心地よい2拍子のリズムは応用が利き、カラマルカがシンセサイザーを多用したため、トバスにはドラムやサックスといった現代楽器を用いたポップス調の曲も多くあります。
トバス動画
発祥:ボリビアのユンガス地方
拍子:6拍子
楽器:サンポーニャ中心的、ギロ、鈴、ホイッスル
歌 :あり
特徴:リズムのなまり、踊り
カポラルはアフリカ系リズムのトゥンディキと前述のワイニョが融合してできたリズムです。
その踊りでは足に鈴のついた靴を履き、足を二回ずつ交互に鳴らします。
「カポラル」は奴隷の長を意味し、この踊りも黒人奴隷が足の鎖を鳴らしたことに由来します。
暗い由来を持ちながら、カポラルの曲は明るいものが多く、現地では多くの若者の支持を得ています。
このリズムは6/8拍子だと書きましたが、実際に演奏されるときはリズム隊が6/8とは少しずれてなまったリズムを叩きます。鈴とギロとボンボによって力強く演奏されるこの変わったリズムに最初は違和感を覚えますが、慣れると癖になり、気が付くとカポラルのリズムを叩いているなんてことも・・・。
ややこしいことに、カポラルはサヤ(アフロサヤ)というリズムとよく混同されます。多くのカポラル曲で「サヤ!」という掛け声を聞きますが間違いです。
カポラル動画
発祥:ボリビアのユンガス地方
拍子:2拍子
楽器:打楽器中心的 (ボンボ、ギロ、鈴)
歌 :あり
特徴:早い、「サヤ」という掛け声
サヤも黒人奴隷のリズムから発展したものです。前述のカポラルの元となったトゥンディキというリズムの元だといわれています。テンポが早く、昔は歌と打楽器のみで、弦楽器や管楽器は入らなかったそうです。踊りは左右に跳ねるだけの単純なものなので、万人がノリやすく演奏会のエンディングなどに用いられることも少なくありません。
カポラルの掛け声は「サ!ヤ!」
アフロサヤの掛け声は「ッサヤ!」